予定通り、真夏の空の下、引っ越し屋のバイトで滝のようにかいた汗。
仕事中、帽子をかぶっていた頭は本当に女子なのか?という臭いと、実験失敗の爆発した頭になっている。

「幸っちゃん…流石にそれで瑠色に会いに行くのはお互い罰ゲームになるわよ?」
「消臭スプレーまるごと頭からかけるか…?」


定食屋でプレゼントを取りに行き、ママさんと店主二人に、余計な心配を本気でされて

「いや…ちゃんと銭湯行くから。」

と、このやり取りがもはや罰ゲームだよと、心の中で赤っ恥をかいた気分。でもママさんと店主は、


「瑠色にお誕生日おめでとう、また食べにおいでと言っておいてね。」

と、いつもの暖かい笑顔で私を送り出してくれ、私も「はーい!」と、渡せる喜びについ大きな返事をしてしまう。

前に黒川君から貰った大きな紙袋に着ていくワンピースと、ラッピングをされた誕生日プレゼントのトートバッグを入れて、昔、水道が止められて何度かお世話になった銭湯に入る。
1日分の汚れをこれでもかと落としていった。


ほとんどお婆ちゃんしか居ない脱衣所で、私はフワッと軽い水色のワンピースに着替えて、夕陽に照らされた紫やオレンジ色の空の下、ガタガタの歪んだコンクリートの歩道を歩いて行く。

向かうのは勿論美容室。

1000円カットじゃない力を見せて貰おうじゃないか。







「あれ?お客様ご予約してます?」