正直勉強を教えてあげるとか欠片も思っていなかったから、黒川君の追試の時や、補習だと教えて貰った時も「へー。」くらいにしか思わず流していた。

そもそも勉強を教えるって何?何処で?って思ってしまったし、今まで沢山貰ってばかりのクセに自分の事しか考えていなかった事を反省して、勉強見る?と先日聞いても、


「やだ。幸子には頼らん。」


の、一点張り。
私とたまに顔を合わす秀紀さんにですら、

「瑠色、このままだと本当に留年だぞ?出席日数の調整は何とかするけど、学力の方はどうにもならないし、意地張らないで幸子ちゃんに教えて貰えよ。」

と、秀紀さんもいまいち勉学の方は自信が無いらしく、私に頼むのだが、


「やだって。幸子はバイトしてろ。」


と、まるで駄々っ子のようにこちらの心配と案に首を横に振るだけ。


そしてそのまま夏休みの補習の期間に突入。
いつもと同じ登校時間に、終わるのもほぼ同じ。最終日にテストを行い平均点以上取らないと進級は出来ない。


「う~し。行くかぁ。幸子も頑張れよ。」
「あ、うん。行ってらっしゃい…。」


見送る背中、指定外の白いベスト。

昼も夜も、明日も明後日も、二人で会う約束をしないまま。


ようやく慣れてきた携帯も、


特に進展もないまま。