気味が悪くて木材のボロボロのドアを急いで開ける。


「幸子~おかえり~。」
「ただいまお父さん。…?あれ?何それ。」
「おう、これか?何か昼間にお前の事聞いてきた奴が置いてったぞ。」



ご機嫌なお父さんがビールを片手にテーブルを指差す。
大きな箱に入ってある沢山のビールの数に、見たことがないおつまみセットの数々。

お父さんは既にビールを5本程飲んでいて、袋から開けたさきいかを食べている。普段おつまみなんて買えないから、お父さんは上機嫌だ。


「…誰が、何の為に?」
「知らねーけどどんな娘ですかとか、此処に住んで長いのかとかな。お父様は働いてないのですかって最後聞いてきやがったから、ムカついてドア閉めてやったわ。ガハハハ!」


どういう事?誰?
どう見たって立派な箱に入った沢山のビール。おつまみだって誰が見たってコンビニに有るようなものじゃない。


「…お父さん、次誰か来てもドア開けちゃ駄目だよ?変な人かもしれないよ?」
「俺の命のガソリン持ってくる奴にわりぃ~奴はいね~よ。ガハハハ!」


酔っ払っていて会話のようで会話にならない。
お父さんの酔い具合はレベル1で助かるが、判断力の無いお父さんに注意しても無駄なのはわかってるが不安が拭いきれない。

まさか秀紀さんが…?

でも、そんな事をする理由がわからない。


「お、お父さん、私ちょっとバイト先に忘れ物しちゃったから。」
「おう!また働いてこいよ!」

私は誤魔化しの笑顔でドアを開けて外に出た。