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明日の夜ってバイト?
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夜のバイト先。ロッカーに入れておいた携帯に、黒川君から入るLINEのメッセージが入っていた。
少しずつ覚えていく文字の入れ方。それでも他の人よりかなり返事は遅いだろう。


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毎日だよ。
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だよな、終わってから
ちょっと会えない?
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秀紀さんにあの言葉を言われる前なら多分会っていたかもしれない、どうして?って思う疑問は変わらないけど、


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ごめん。無理かな
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忙しい?
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学校以外で会う理由が思い付かないし、何よりあの人にまた何か言われたらと思うと、余計に気が進まない。

きっとこんなやり取りを続いていたら、向こうから私を切り捨てるだろうね。

頼まれた彼女役、私は特に何も彼に貢献出来ない。
私ばかり貰ってばかりだね。
やっぱりこの携帯、返した方が良いかな。
もうお前はいいから携帯返せって言われるくらいなら…。

ファミレスのバイト帰り、月も出ていない夜の道、気分が落ちたまま、黒川君に何て返せばいいのかわからない返事をしないまま、家路を急いだ。



パシャッ



車のライトと一緒に一瞬だけ見えた光と聞いた事があるような機械の音を、私は「今の何?」と違和感を感じて周りを見渡す。

自宅のアパートに着いて、明かりがほぼ無い暗闇の中、いつも通り物置小屋に自分の荷物を隠してドアを開けようとすると、


パシャッ


またしても機械の音が何処かで聞こえた気がした。