「よし、終わり~。幸子見てたか!?俺の爽やかな姿。」
「……。」
「どうした?カッコよすぎて固まったか?」
「……。」
「幸子?」
「私…バイト行かなきゃ…。リュック…。」
「え?」



一緒に戻ってきた秀紀さんが会話を聞いていたのか、車のロックを解除してスライドドアが開き、私は無言でリュックを持つ。


「瑠色早く乗れ。人が集まってきてる。」
「え、だって秀紀さん。」
「後々面倒になるのわかってるだろ。早く乗れ。」



黒川君が納得がいかない態度で車に乗り込むが、私は一言も発せず、車の周りを囲む女子達をかき分けて歩き出す。


バイト…行かなきゃ…。





ポケットに入っている携帯が何度も鳴っているのをわかっていたが、私は無視して海沿いの道をそのまま歩いていった。

穏やかな波の音なのに、やけに耳に残る。





他にも残るのは、

秀紀さんの言葉。






黒川君の…笑顔。



やっぱり貴方は別世界の人。