電話の切り方がわからず、横になりながら両手で携帯を眺める。

初めて見る携帯に映し出された沢山ある丸みを帯びた四角い形の何かが沢山並んでいる。


何もかもわからない。
ポンと何かを押すと、直ぐに画面が切り替わるのが近代的で面白い。
だけど戻りかたがわからず、表示されている画面をただ眺めていた所で黒川君が戻ってくる。


「買ってきたから好きなの食え。」

横になってたベッドの空いている範囲に、無造作にパンやおにぎりや飲み物を置かれていく。


「お金…。」
「は?女から貰えるかよ、先ず食え。」

きっと一緒に買ってきたお水なのか、黒川君は室内に置かれた長椅子に座って、ペットボトルを口にしながら先生と話している。


身体を起こして転がっている加工パンやおにぎり、牛乳とペットボトルのお茶。
明らかに空腹なお腹に我慢出来ず、コロッケパンを選んで口にする。


………美味しい。


何故かわからないけど、夢まで出てくる泣かないと決めた決意が。 

コロッケパンを食べながら二つ程涙を流してしまった。







泣くほど美味いのか?


初めて黒川君から貰ったLINEのメッセージは、デリカシーのかけらもない。


授業に戻りなさいと保健室の先生に怒られている黒川君の姿が、なんだか微笑ましくて





言葉に上手く出来ない感情の自分がいた。