「…ん?…あれ?こんばん…わ?」


座っていたベンチのー囲いの歩道から、若い男に声をかけられ思わず振り向くと、夜で周りは暗い筈なのに、なんだか後光が差したかのようなオーラ。
こんな声だけで眩しいのか!!



「…黒川君?だっけ?」
「う、うん。え、あの、寒くないのそれ?」
「いや、見てわかるでしょ寒いよ。」


なんで黒川君が住宅街の中にあるタコ公園周辺を歩いていたのか、いや、よく見たら黒川君以外にもう一人男の人もいる。


「何でこんな所歩いてんの?」
「え!俺!?いや、なんか…。え?」

え、何この人、イケメンだけで会話出来ない人?もう一人の男の人と顔を見合せおかしいね?なんて話してるけど、私にしたら会話にならない会話でおかしいよ?と言いたい所なんですけど。


「俺と話してるのにそのテンションって、寒過ぎてそうなってる感じ?」
「…………??」


全くもって何を言っているのか全然理解出来なくて、声に出さず顔で返事をしてしまう。

春でもまだ冷たい風が一瞬フワッと吹き、私の乱れた髪で表情が見えたか見えなかったか。