自宅のアパートの近くのコンビニに、二人並んで向かう途中、

「珍しいな、マスクしてるの。」
「あ…うん。風邪…かな?」
「ふ~ん。」

嫌だな、顔見られるの。
もしかしてご飯て、私の家で黒川君も食べるのかな…。
そもそもあんなボロいアパートに入るの抵抗じゃない?あれ?座布団とかあった?もういっそのことお弁当買ったら公園で食べるのが一番平和じゃない?


悶々と考えていたら某コンビニに入ってお弁当コーナーを見ると


「たっか!!お弁当高っ!」
「おい、声。」
「ご、ごめん。現実を受け止めきれなくて…。」


正直コンビニのお弁当って食べたの何年前だったかな?
スーパーの半額シールが貼ってあるお弁当なら食べてたけど、結局自炊した方が安いという現状を知ってから、お弁当は買わなくなった。

「なぁなぁドリアあったぞ。」
「えっ食べたい!!」
「他にも食えよ。デザートも選ぼうぜ。」

だけど、久しぶりのコンビニの店内に、見るもの全てが新鮮な気分でワクワクして楽しくて仕方ない。
かごを持ってくれる黒川君の姿に、コンビニの若い店員がヒソヒソしている。

あれ?バレてる?

「黒川君…もう行こうよ。」
「は?全然選んでないじゃん。」
「ば、バレてない?」
「別にいいじゃん。弁当買いに来ただけだし。」


いいのかな?と思うのと、見たことないデザートコーナーのスイーツに、つい目が眩んでしまう。

「俺、あんこ嫌い。」
「は!?あんた日本人!?」
「あんこ食うならチョコが良い。」

と、話してたくせに黒川君が選んだのはプリンで、ただ単にあんこ嫌いを主張しただけ?と可笑しくて思わず笑ってしまう。