「アルコール依存性って、厳しく言うと精神疾患と同じなの。今は身体の悪い所を治す為にここに居られるけれど、退院して自宅療養になった時にお家に貴方しか居ないと、きっとまたアルコールを摂取する日を繰り返す可能性は高いと思います。」
「……はい。」

昨日の夜に行った病院を指定された時間に合わせてバスに乗り、ソーシャルワーカーという太った優しい女の人と話をする。

「あの…入院費用ってどれくらいですか?うち、あの、お金あんまり無くて…。」
「お父様がどれだけ入院するのか未定なので詳しい金額はわからないけど、一応高額療養費制度というものがあるから、大きな負担はそこまで無いけど…。」
「……。」
「入院には保証人も必要になってくるし、色々手続きが必要なんだけど…頼れる人って幸子ちゃんしか居ないのよね。」
「……すみません。」
「謝ることじゃないのよ。とりあえずやらなきゃいけないリストの紙をお渡ししておくね。わからない時はここの名刺に電話番号書いてるから連絡下さい。」



沢山渡された書類に、山積みにやらなきゃいけないこと。
先ずはお金の問題が一番不安要素が大きい。

お父さんのタオルやコップ、歯ブラシ等持って入院している部屋に入るが、機嫌悪そうにしているお父さんが点滴をしながら横になっている。


「おい!ここテレビカード無いとテレビ観れねーんだよ!ふざけんなよ。幸子三枚くらい買ってこいよ。あとイヤホンもな。それから飲み物買ってこい。喉乾くんだよ。」

昨日とは比べ物にならない程元気になって一安心するが、一枚千円もするテレビカードを三枚も要求された上に飲み物まで欲しがる始末。

「お父さん…お金ないよ。」
「はぁ!?」

病室なのにお父さんの声が大きく、そして私の胸元を、拳で力強くドンと叩く。