…お父さんどうなるんだろ。
いつから、どうなってしまったんだろう。

最近そこまで荒れる事なく、暴言も興奮も全然無かった。
何処か悪かったの?痛かったの?

ねぇお父さん…。



私を一人にしないでよ。



寂しくて、心細くて、一人で待ってると不安が大きすぎてジャージに入れていたポケットから携帯を出す。




黒川…君。


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助けて怖い
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思わず説明も吹っ飛ばしたLINEのメッセージを、思っている感情そのままで送ってしまった。

きっとずっと平静でいられなかったんだろう。

今一番私の不安を受け止めて欲しいのは…加南子でもなく、ママさんでもなく、やっぱり黒川君だよ。






待ってる時間の一分一秒がとにかく長くて、お父さんの様子をまだ何も教えてくれない状況に、そして鳴らない携帯。

孤独過ぎて、また落ち着いた呼吸が早くなって心臓が止まりそうになってしまう。



ヴーーっヴーーっ

右手で持っていた携帯が震えて、きっとそうだとわかっていた電話の相手。座っていたピンクの長い椅子から立ち上がり、裏口の玄関に向かう。



瑠色

私が登録したわけではない、黒川君の下の名前が表示されながら私の携帯が振動していた。



『…もしもし。』
『どうした?何処にいる!?』
『………黒川…君。』
『何処だよ!!』
『…び、病院。◯◯病院にいる。』


久しぶりに聞く声、明らかに心配していた大きな声。

嬉しいとは言えないけど、その声を聞いて安心と思えたんだ。ホラ私…泣いてる。涙が出てるよ。



『…今行くから。待ってろ。』
『…ぅぅ。…うっうっ。』
『幸子、大丈夫だから。』