映画の主役

学校に来なくなる可能性

更に上がるだろう彼の知名度

そして更に増えていく彼のファン



私は?
もう、必要なくない?


私からどんどん離れていく彼との距離感に、寂しさ募る感情と、ほんの小さな






彼に対する、皆から求められる人生豊かな道のりの環境への嫉妬。






心の奥の底の底。
誰に対しても、私より幸せで私より楽な人生を歩んでいる人達への黒くて汚い感情。

そんなこと、思いたくないのに。

この世に生まれた今の今まで、仕方ないと自分に言い聞かせ、もはや洗脳のように唱えてきた【私がなんとかする】の言葉。




なんで私ばっかり。

なんで私だけが苦しい目に。






さっきまで追い払っていた近寄ってくる小さな蛾を、





バン!っと足で踏み潰した。




動かなくなった白くて小さな羽のある虫。
私みたいね。だって汚くて気持ち悪くて誰も要らないでしょ。こんな存在。




物が入っている為かカサッと紙袋から音を鳴らせ、すっかり夜になってしまった暗い空の色を目で確認して公園から出た。

クスクスと笑う大人の男の人二人、すれ違ったことにも気付かないまま。