「ドーナツ食いいこ」
(新しく)好きな人が欲しいなんてことを口にしてしまってから。
彼方の顔を,上手く見ることが出来なくなった。
無駄に彼方を意識する。
「ごめん,今日は真っ直ぐ帰りたい,かも」
今さら全部を,後悔する。
2人で,ドーナツ。
2人で,下校。
周りの目なんて気にしないふりして,ほんとは全部気にしてた。
ほんとはきっと良くなかったのに,全部下心のかたまりだったのに。
そんなもの全てが,彼方に彼女がいた,という事実に突き付けられる。
どんなに否定しても,彼方は男の子で,私は女の子。
そして私は,彼方のことがずっと前から大好き。
恥ずかしい,醜い,出し抜くようで,せこい。
自分を嫌いたくない心が,彼方へ邪険にも映る行動を取らせる。
全部今更なのに,せっかく誘ってくれて,彼方は何も悪くないのに。



