ただでさえモテている彼方の彼女,なんて,そんなの。
友達だから全方面の人に許されている私の立場じゃ,絶対に無理。
彼方は私に振り向かないし,きっとずるいと,嘘つきだと後ろ指指されるに決まってる。
誤魔化して,誤魔化して,こんなに苦しいなら。
「でも,私も……そろそろ好きな人とか,欲しいな……」
「えっほんと! いいじゃんいいじゃんっ,出来たら教えてよ……っ! 高槻とかも仲いいし,探せばいい人絶対いるって!」
こんな嘘が,ほんとになっちゃえばいいんだ。
ユミは,私なら彼氏もすぐ出きる,なんて励ましてくれて。
嬉しいような,素直に受け止められないような,ちょっぴり切ない気持ちになった。



