~best friend~ふたりで図る距離(こい)の行方。




「ほのんってさ,見た目そのままのほわほわで,そのまんまのキャラクターで男子とも仲いいよね」

「どう,だろう。そんなに,かな。でも皆フランクに接してくれるから,話しかけやすいとは思う」

「意外とよく喋って,笑って,基本受け身で。男子の方も話し掛けやすいんだろうね。他の女子は一々男子と話すこと,あんまりないし」



それなら良いんだけど……

私は今みたいに,2人くらいで話すのが好き。

皆で集まったり,常に特定の同じ人といることはあまりない。

だから男子とだって仲良く出来たら,それが1番楽しいと思う。



「でもほのん,彼方とは特別仲良いでしょ?」

「うん」



それだけは断言できた。

一緒にいる,一緒に話す,よく,私が見ているから目が合う。

そしたら向こうの表情も,私に合わせて緩む。



「ねー穂乃果」



ユミの顔が,私を捕らえたような気がした。

ユミが穂乃果と名前を呼ぶときは,何かふいに思い付いた時。



「彼方別れたなら,付き合っちゃえばいいじゃん。友達も彼氏もあんま変わんないよ。なら楽しい方がよくない?」

「んー彼方と? ないない。友達だって楽しいよ」



笑ってみたけど,ユミの顔が見れなかった。

無いことなんて,ひとつもない。

今に限らず,私達の関係に遠慮の無い言葉を使う人は何人もいた。

最初は少し嫌だと思うくらいだったけど,更に困るようになったのは,自分の心が重なるようになったから。