夏が明けて久し振りに見る皆は,変わっていたり,変わっていなかったり。
彼方は変わっている部類に入る。
襟足と前髪が短くなって,爽やかで,かっこよくなった。
彼方の話が時々耳に入ってこなくなる位には,私はそればかり気にしていた。
「彼方,別れたんだって? ほらあのロングのセンパイ」
「……あ,ごめん意識飛んでた。なに?」
日が落ちそうな放課後にユミの話を聞き逃したのも,そんなことを考えていたから。
「だから,彼方」
ストレートに耳へたどり着いた名前に,私はうっかり瞳を揺らす。
気付かれないように目を伏せながら,私はパックのジュースを口に含んだ。
「ああ,うん。夏休み中に別れたんだって」
「あーいうタイプのイケメンってさ,なんで皆まずセンパイに行くんだろーね。ってかどこで出逢ってんの??」
いつになく饒舌なユミ。
今日は他人の恋ばなをする気分らしい。
「さあ。でも彼方はバイト先の常連だって言ってたよ」
「へーー。やっぱ彼方の事はほのんに聞くのが1番ね」
そういってチョコレートにコーティングされたお菓子を口に放ると,もぐもぐしながら私をじっと見た。



