「お嬢様」
翌朝。
田中が、私の部屋を訪ねてきた。
「少し、お伝えしたいことがございます」
「何ですの?」
「藤太さんのことなのですが……」
嫌な予感がした。
「藤太が?」
「昨夜、退職の申し出があったそうです」
「……え?」
言葉が出なかった。
「久保寺家でのお仕事を辞めて、施設に戻るつもりだと」
胸の奥が、冷たくなる。
「……いつ?」
「今日の夕方には」
「そんな……」
私は立ち上がった。
「藤太はどこに?」
「庭にいるかと」
私は走った。
廊下を抜けて、玄関を飛び出す。
庭の向こうぬ藤太がいた。
執事服ではなく、制服姿で小さな鞄を手にしている。
「……藤太!」
彼が振り返る。
「瞳……」
「本当に……辞めてしまわれるの?」
「……うん」
「どうして」
「みそら園を守るため」


