心臓が跳ねた。
「藤太が?」
「うん」
「誰を……」
「それ、私に聞く?」
美緒がいたずらっぽく笑う。
「……」
わたくしは何も言えなかった。
美緒はそれ以上追及せずに、遠くで子どもたちと遊ぶ彼を見ながら言う。
「藤太ってさ、自分のこと、あんまり大事にしないんだよね」
「……そうですね」
「ここの子どもたちのためなら、自分が傷つくことなんて平気」
「わたくしも何度も注意しています」
「瞳も?」
「ええ」
「そっか」
美緒が少し笑う。
「じゃあ、似た者同士だね」
「わたくしと藤太が?」
「うん」
「どこがですの?」
「二人とも、自分より誰かを優先するところ」
「……」
胸に刺さった。
わたくしは、何も言えない。
「私ね」
美緒が静かに話し始めた。
「将来、みそら園で働きたいと思ってる」
「施設職員に?」
「うん」


