がらんどうの広間に、待ち侘びていた声が響いた。
『魔王様?』
玉座に座っていた魔王がはっと顔を上げた。
侍従長はそれに気づき、首を傾げた。
「どうかされましたか?」
どうやら侍従長には彼女の声は聞こえないらしい。実際には、魔王の頭の中でのみ響いていたのだ。
普段とは立場が逆になっている。
この声が聞こえるのは自分だけだと思うと、胸の奥が震えた。
「花嫁だ!」
『私の声が聞こえますか?』
(うん、はっきり聞こえてる!)
『花嫁になる準備が整いました。魔界に呼んでくれますか?』
この瞬間まで不安でいっぱいだった反動からか、喜びで打ち震えそうになる。
交渉は決裂したのかと諦めかかってすらいた。
やっぱりあんな対価をねだるべきではなかったと後悔もした。
魔王は力強くこぶしを握った。
「今からここに呼ぶぞ、いいな?」
侍従長は頷いた。
「かしこまりました」
どうとでもなれ……という顔をしている。
『魔王様?』
玉座に座っていた魔王がはっと顔を上げた。
侍従長はそれに気づき、首を傾げた。
「どうかされましたか?」
どうやら侍従長には彼女の声は聞こえないらしい。実際には、魔王の頭の中でのみ響いていたのだ。
普段とは立場が逆になっている。
この声が聞こえるのは自分だけだと思うと、胸の奥が震えた。
「花嫁だ!」
『私の声が聞こえますか?』
(うん、はっきり聞こえてる!)
『花嫁になる準備が整いました。魔界に呼んでくれますか?』
この瞬間まで不安でいっぱいだった反動からか、喜びで打ち震えそうになる。
交渉は決裂したのかと諦めかかってすらいた。
やっぱりあんな対価をねだるべきではなかったと後悔もした。
魔王は力強くこぶしを握った。
「今からここに呼ぶぞ、いいな?」
侍従長は頷いた。
「かしこまりました」
どうとでもなれ……という顔をしている。