イーダは馬車が停まったのを体で感じた。
扉を閉めていた南京錠が乱暴に開けられた。
「降りろ」
乗り心地が最悪な馬車に長時間座りっぱなしだったイーダは、即座に立ち上がることができなかった。
確かめるように、ゆっくりと脚に力を入れた。
「さっさとしろ。この期に及んで拒否するつもりなら、今からでも魔女の集落を焼き払うことはできるんだ」
このまま馬車で籠城するわけにもいかない。
どれほど悔しくても逆らえないのだ。
一方で馬車に揺られている間に、絶望するのにもすっかり飽きてしまっていた。
(そもそもこの人たちは私にお願いする立場じゃないの? 私がしくじって、魔王をダマそうとしてたことがバレたら、魔王はどう考えたって怒るでしょ? そうなったときに、私が『無理やり身代わりにさせられた』って全部白状したらどうなると?)
その場面を妄想してみた。
(魔王のところへは大人しく行く。でも、生命を奪われるときには、王宮も巻き込んでやるんだから……)
扉を閉めていた南京錠が乱暴に開けられた。
「降りろ」
乗り心地が最悪な馬車に長時間座りっぱなしだったイーダは、即座に立ち上がることができなかった。
確かめるように、ゆっくりと脚に力を入れた。
「さっさとしろ。この期に及んで拒否するつもりなら、今からでも魔女の集落を焼き払うことはできるんだ」
このまま馬車で籠城するわけにもいかない。
どれほど悔しくても逆らえないのだ。
一方で馬車に揺られている間に、絶望するのにもすっかり飽きてしまっていた。
(そもそもこの人たちは私にお願いする立場じゃないの? 私がしくじって、魔王をダマそうとしてたことがバレたら、魔王はどう考えたって怒るでしょ? そうなったときに、私が『無理やり身代わりにさせられた』って全部白状したらどうなると?)
その場面を妄想してみた。
(魔王のところへは大人しく行く。でも、生命を奪われるときには、王宮も巻き込んでやるんだから……)