角の生えたネズミ騒動もすっかり落ち着いた頃、外にいる子どもたちが叫ぶのが聞こえてきた。

「ねえ、あの箒!」

「うん、ソフィー母さんだー!」

 仮眠を取らせてもらっていたイーダは飛び起きた。

 鍋の前から離れられないメンバーを除き、総出で出迎えた。

 箒から下りたソフィーは疲れている様子だったものの、その表情はどこかすっきりしているようにも見えた。

 大ばばがみんなを代表してソフィーに尋ねた。

「それで、国王陛下の用件は何だったの?」

「用があったのは私じゃなくて、正確には私の使い魔にだったわ。ここだけの話なんだけど、国王陛下は斑紋死病の特効薬を作ってくれるよう、魔王にお願いすることを決めたの」

(魔王に! いつまで続くかも分からなかった薬の調合が、ついに終わるのかもしれないってこと?)

 けれども、その期待はすぐさま不安に取って代わられた。