当時抱いた負の感情まで蘇ってきそうなところを、ソフィーは寸前でどうにか退けた。

 平静を装って、受け取った封書を開けた。

「何て書いてあるの?」

 王宮からそれを持ち帰ってきた当人である魔女は、心配そうに尋ねた。

 とんでもない内容だったら……と気が気でないのだろう。

 ざっと目を通した。

 型通りの挨拶文とそれから……

「私に『直接会って、至急で依頼したいことがある』んですって。要するに王宮に呼び出しってこと」

 娘たちの顔が一斉に曇る。

「『薬の量を倍増せよ!』とかって命じられるんじゃないの?」

 ソフィーは苦笑した。

「それはないと思うわ。これ以上の増産ができないのは、向こうにも伝わってるはずよ。無視するわけにもいかないから、とりあえず行って話だけでも聞いてくるわね。大丈夫、もしものときには『無理なものは無理』って、はっきり断ってくるから」