ソフィーは、イーダと魔王が子どもたちの相手をしている様子を窓から眺めていた。

 侍従長が手紙に書いて寄越してくれた内容を思い出す。

 魔王にはイーダが第一王女殿下の身代わりだとバレてしまっている可能性が高いと書かれていたが、魔女であるとバレているのは明らかだった。

 そして、怒ってはいないというのも本当だった。

 それどころか、昨日今日とは思えないぐらい、ふたりはお互いに気を許している。

 イーダが王宮へ連れていかれたあの日、イーダの生命すら危険なのではないかと心配していた。

(あのときのことを思うと、夢でも見ているみたい……)

 そう思ったとき、ソフィーはかぶりを振った。

 逆だ、あの日のほうこそが悪夢だったのだ。

 今まさに目に届くところでイーダは笑い転げている。

(ところで、イーダを人間界に帰せるように働きかけてくれるというのは、一体どうなったのかしら……?)

 イーダは確かに人間界に帰ってきた。

 けれど、隣に魔王を伴ってだ。