「またな。」 私に背中を向けてその場から立ち去ろうとしたその時に、 「お兄ちゃんありがとう。」 「お兄ちゃんじゃなくて、政喜兄ちゃんな?」 「まさちにーちゃん?」 「ま さ き。」 「ま さ ち。」 「んー。まーちゃんでいいよ。」 「まーちゃん?」 「そう、まーちゃん。」 「まーちゃん。」 「また会おうな。」 まーちゃんは行ってしまった。 波の音だけがやけに耳に残った。