「あの…。」



政喜という人の横に立ち、私の方をチラっと見て、ビックリした顔でビールが入ったコップをテーブルに置く。



「うん?どした?」




アハハハ!そうだよなー!!
おめーもそうだったなー!!
アハハハ!



おじさん達の笑い声に自分の存在が薄くなっているような感覚で、逆に安心する。



「……充電器って…ありますか?」



「充電……器?あ、あぁ、携帯のか?どうした?充電ないのか?」



「……はい。」





政喜という人は会場に設置してる時計をチラリと見て、




「俺の部屋にあるわ。取ってきてやるよ。」


「え…いや…。」


「直ぐそこだし、待ってろよ。」







ヨイショとあぐらをかいていた足を伸ばし、少し困っている私の目の前に立って取りに行ってくると横を通り抜ける。


同じ学校の男子より少し高い背丈

どことなく香るタバコの匂いに、







「………私も行く!」




と、後を追ったんだ。

今でも何故あの時ついていきたくなったのかはわからない。




わからないのに




一緒に行きたかった。




恋とは無縁な好奇心だとは思うんだけど、もう後戻り出来ないよ。時間を戻せても……。



あの時の私の行動に後悔はない。