あれから夜になり、お葬式はここの地域の会館で行われた。
居ないと思っていたお婆ちゃんは沢山の花とお葬式でよく見る青白い綺麗な照明のライトに囲まれ、棺に入っている。
去年悲しくて寂しくて泣いたお婆ちゃんのお葬式とは打って変わって、特に感情もないので集中力が無いのか正座をしている足が痛い。
人は沢山いるけどほぼ誰もわからない。
お父さんのお母さんだから、比較的前の方に座らせられる私達家族だけど、足を崩したくて辛い。
お父さんもお母さんも泣いてない。
本家の皆も誰も泣いてない。
でもお経が終わったお坊さんの話を何処か皆優しい顔で聞いている。
「婆さんありがとな。」
本家や他の人達も、遺影の笑っているお婆ちゃんの顔を見て優しく、何処か寂しくお礼を言っている人が多かった。
そしてつい探してしまう、政喜という人。
本家の次男らしく一番前の列に座っていたが、政喜もまた、泣いては居ないが笑ってもいなかった。
何処となく、本家の叔父さんに似ている。
お葬式が終わった食事会、またおばさん達が慌ただしく動き出す。お父さんはおじさん達と酒盛りし、お母さんはお膳運びをしていた。
手伝う?と聞いても
ご飯食べてていいよ
と、お母さんに言われて仕方なく少し離れた人が少ない席で、テーブルに乗ってる冷たいオードブルと、ぬるい茶碗蒸しを正座をしながら少し口に入れる。
なんとなくポケットから取り出したスマホの充電が、残り少ない表示が出ている。


