おばさん達が一服止めて戻りますかと話しながらまた一人、リビングに取り残される。
制服を脱ぎたい。
慣れているYシャツのボタンが学校と違う場所にいるからなのか、妙に息苦しく感じる。
ていうか今日泊まるのかな?
部屋着持ってきてないよお母さん。
そんなことを思いながらそういえば死んだお婆ちゃんて何処にいるんだろうと思っていたらまた一つ、リビングに近づく足音が聞こえる。
「お、制服女子。」
黒いスーツ姿の短髪の茶髪の男の人。
何歳くらいかもわからない、でも間違いなくかなり年上だろう。床の座布団からソファーに座り直した私の姿を見て笑顔で話す。
「んーと、この年齢つったら…。」
「…………。」
「昌広の所か?」
「…………。」
お父さんの名前を呼び捨てにしながら、スーツの胸ポケットからタバコを取り出しソファーに座っている私の斜め前の座布団にドカッと座る。
「相変わらず無口か?名前は?」
フーッと吐くタバコの煙が臭い。
スーツ、なんかパツパツしてない?
太っている感じはないけど、スーツが小さい?
あ、耳にピアスの穴。
この人、あの歌手にちょっと似てる。
おじさんではないけど、イケメン?ではない?
返事もしないでついその男の人をジロジロ見てしまう。


