冷たい城の番人


「まあ、そんなすごい庭園なら行ってみたい気もするけど……」

「行こ行こっ、絶対だからね⁉」


「なんか、いつになく情熱的だねリサちゃん」

「だって年に一回しかないチャンスだし。それにさ……もしかしたら会えるかもしれないじゃん?」



なぜか声のボリュームを落としてそう言ったリサちゃんに、わたしは首を傾げる。



「誰に会えるかもなの?」

「来世様」


「らいせさま……ああ、来世様ってあの城の王っていうか、L区を仕切ってるって言われてる人だよね」

「そうそう。その来世様ね、やばいほどのイケメンなんだって」



そこまで聞いてようやく納得がいった。


法律が機能していないL区に出向くというのは極めて危険な行為だし、ましてや女子高生だけなんてとんでもない。


だけど、その女子高生という生き物は “やばいほどのイケメン” というワードを耳にした瞬間、あっさり理性を手放してしまったりする。