踏み込んだなら、最後。





こめかみを掻きながら照れくさそうに。

そんな言い方をされると「もう少しいいかな」と思ってしまう。


まだ時間はあるし、ここで断るほうが気まずい。



「じゃ、じゃあ、本屋さんに寄っても…いいかな?」


「はい。もちろんです」



なにを買うでもなく、ぷらりと。

店内にはカフェも併設されているから、耐えられなくなったらそこに寄ればいいかという安心感に背中を押されて、細々と会話を交わしながら私たちは見て回った。


これはシロちゃんとよくしていたこと。


とくに中学生のとき。

受験勉強の参考書を一緒に選ぶためとか言って、結局はぜんぜん違う本を見ちゃってたんだよね。



「ごめんなさい、汐華さん」



外に出たとき、ちょうど夕日が見えた。

長く伸びた黒い影の片方が、私にそんな謝罪をしてくる。


どうして謝るの?と、顔を向けてみれば。