踏み込んだなら、最後。





「おかえり、由季葉」



ゆっくり近づいた私を見つけて、絃お姉ちゃんはできるだけ優しく言ってくる。


隣には闇に溶けてしまいそうな黒をまとった旦那さんの姿までも。

いつ見ても人目を惹くルックスや、ケタ違いなオーラから緊張してしまう。



「女の子がこの時間に帰ってくるのは少し危ないんじゃないかなー?」



時間なんか数えてなかった。

気づいたときには暗くなっていて、ちょっとお腹空いてきたなって思ったから帰ってきただけ。



「…ごめんなさい」


「どこに行ってたの?」



すぐに聞いてくる。

絃お姉ちゃんだけじゃなく旦那さんまで鋭く見つめてくるから、思わず逸らして地面の靴と目を合わせた。



「シロちゃんに、会ってきたの」


「シロに?…危ない場所には行ってない?」


「行ってないよ…。だって場所も分からないし、行く理由がないもん。シロちゃん元気にしてたよ。…友達と、楽しそうにしてた」


「なら、俺たちの目を見て同じことが言えるか」



絃お姉ちゃんの旦那さんがどんな世界にいる人なのか、私もよく分かっていない。

そこを探ったとしても理解できないことだらけだろうし、そもそも教えてくれないんだろうなって思う。