踏み込んだなら、最後。





「ユキちゃんの部屋、僕ばっか」


「…へっ」


「写真とか絵とか、はっず。いつのだよ」



そんなこと言われましても。

私の思い出には必ずシロちゃんがいて、シロちゃんが居てこそなのだから当たり前のことだ。



「さっきのこと、お願いできる?」



そして現実に戻される。


本当のほんとうにシロちゃんはこの施設に帰って来ないつもりなのだろうか。

その理由すら、なんにも教えてくれないまま。


しばらくって、どれくらい…?



「……でき、ない」



できない、じゃない。

したくない、だ。



「なにも説明してくれないのに、そんなのできないよ…」


「して」



しろ───って、命令されているみたい。

精いっぱい抗って首を横に振れば振るほど、握られた手にちからが込められてゆく。



「ユキちゃん」


「………、」


「ゆきはちゃん」


「っ、」


「由季葉」



たぶん。
いいや、ぜったい。

私、シロちゃんのことが好きなんだ。