踏み込んだなら、最後。





「ちゃんと言葉で言えよ」


「……さみ…しい」



トサッ───、

背後を見ていなかったから、カクッと膝に当たったベッドの縁が体勢を変えてくる。


私の小さな悲鳴ごと閉じ込めるみたく覆い被さってきた影。



「ここ、こーいうコトもできないし」


「…シロちゃんは…、こーいうことがしたいの…?」


「そう」



ちからの差が歴然としていた。

掴まれた手がびくともしないというより、抵抗する気すら起きない。


ほんとうに、きれいな顔立ちをしている。


小さな頃は女の子みたいで、声も高くて全体的な線も細かったというのに。



「シロちゃ、…手、」


「うん」



ひとつひとつ、絡まれては握られた指。

小さな頃は大好きで、小学校高学年あたりになると安心に変わって、中学生では照れくさいになった。


高校生になった今、そのぜんぶが混ざっている。