踏み込んだなら、最後。





はしゃぐ子供たちのなかで唯一、海未ちゃんだけが千石くんから距離を取っていた。


それはたぶん、彼がいつかにひとりで泣いているところを見てしまったからなんだろう。

どう声をかければいいのか分からないんだと思う。


余計、年頃だから。



「あの、千石さん」


「…ん?」


「…これ。お弁当です」


「……俺に?」


「はい。千石さんも……家族、なので」



最高だ。

やっぱりあの子はいざというとき言うべき言葉を伝えることができる。


私とちがって、ビビらない。



「…ありがと」



ふっと瞳を優しく伏せて、海未ちゃんからお弁当を受け取った千石くん。

いつの間にか敬語だって取れて、ひまわり園の一員になっている。



「途中まで一緒に行く?」


「…いいんですか」


「うん。だって、家族なんだろ?」


「…そう…でした」



ひとりが好きな子。

あまりキャピキャピしないで、たとえばみんなで手持ち花火をやったときなんかもテラスに座ってアイスを食べているような女の子が海未ちゃんだ。