踏み込んだなら、最後。





「帰ろう、千石くん」


「……もうちょっといたい」


「ひまわり園に帰るよ」


「…は?」



腕を取って、夜道を歩く。

電車に乗って、いつもの帰宅ルート。


今日の夕飯は唐揚げだよって、楽しい話をしながら。



「俺、明日もバイト。朝から入ってる」


「ひまわり園から通えばいいよ」


「服とか、どーすんの」


「お下がりがいっぱいあるから」



私の力なんて千石くんからしてみれば枝みたいなものなのに、振りほどこうとしないことが答えだ。


ひとりでいるのなら、ひとりでご飯を食べるのなら、あの施設のほうが温かい。

羨ましいって言っていたよね、前にも。



「佳祐お兄ちゃん、今日からひとり追加でも大丈夫…?道端で拾ってきたの」


「……ここ、そういうシステムじゃないけどな」



そう言いながらも園のなかへ案内してくれる。


しかし、こればかりは勝手に決めるわけにはいかない。

すぐに職員の顔に変えた佳祐お兄ちゃんは、親でもあり上司でもある園長先生にコソッと耳打ちをした。