踏み込んだなら、最後。





「経験……、しちゃったんだ…」



昨日のことのように思い出せる。

思い返すだけでドキンドキンと苦しくなって、たまらなくシロちゃんに会いたくもなって、怖さもあったりして。


私を2度と来させないために、「来たらこうなるよ」という脅しのつもりもあったんだろうけれど。


そんなの考えられないくらい熱くて激しくて、ただただ、やさしかった。



「でも…、シロちゃんには夢中な人がいる…」



狙っている人なんだって。

気になって気になって仕方がなくて、その人に会いたかったから追いかけて游黒街まで来たのだと。


あの女性なんだろうな……。


だから私は、この思い出だけで乗り越えられるんだって自分を呪うの。



「海未ちゃん、おかえり」



私たちがちょうど夕飯の準備をしているときに、部活終わりの中学2年生は帰ってくる。

常にジャージを着ている女の子───海未ちゃんは陸上部。


ひまわり園の中学生組は計3人だ。


その真ん中っ子でもある海未ちゃんは次こそ県大会を狙っていると意気込んでいて、こうして朝から晩まで部活漬け。