踏み込んだなら、最後。





「フィルター死んでるから、夜はこっちのほうが涼しいんだよね」



リビングのエアコンを作動させることなく、慣れた様子で迷わず開けられた窓。

ふわっとレースカーテンが揺れると、よくわからない夜景が見える。


14階建てマンションの最上階。

今はここに住んでいると、それだけは教えてくれた。



「なんか飲む?」



バスタオルで濡れた髪を拭きながら、聞いてくる。


汗かいてる。
暑かったでしょ、きみも。

そんな会話だけで私もシャワーを浴びてしまった。



「…だい、じょうぶ」



冷蔵庫から漏れた光が照らす、シロちゃんの整った横顔。

ペットボトルを手に取ってはグビッと飲む姿は変わっていない。


今のシロちゃんにとってこの場所が我が家だというなら、ひまわり園は他人の家なのかな。



「はい、」



大丈夫と言ったのに差し出されたペットボトル。