踏み込んだなら、最後。





それからレジに置かれた長方形型の箱を見ても、表面に記載された「0.02」という数字を見ても、結局はよく分からなかった。



「これ、一緒に使うと飛ぶぜ。今なら安くしとくけど」


「いや、いーかな」


「チッ」



店員が勧めてきたものは、なにかの液体が入った小瓶と注射器のようなものだった。


シロちゃんは当たり前の動作で首を横に振ってから1000円札を出し、「お釣りはいらない」と、一言。


そして何事もなかったように取られた手。

ここは手を繋いでいないと、知らないうちに拐われていても文句は言えない街。



「シロちゃん、ここ…」


「入って」



ガチャッと開いたドア。

彼は当たり前のようにポケットから鍵を取り出して、私をとあるマンションへと入れた。


外観よりも綺麗な印象を持った内装。


どこかしこもシロちゃんの好みではない色やインテリア用品だらけで、ぎゅっと目をつむる。