踏み込んだなら、最後。





「やめろって。むり、きもい」


「うわー、逆に冷めた~」



付けまくった香水も、傷みまくりの髪も、カラコンにマスカラ。

少し前まではぜんぶが魅力だと思っていたものが、なぜか今日の俺には汚物に見えてしまってならない。


つまらない。
退屈だ、しんどい。


こんな女と時間を潰すくらいなら、汐華 由季葉の泣きそうな顔を見ていたほうが楽しいとかどーかしてる。



「……俺、0抜けるかも」


「へっ、うそでしょ!?抜けるって、真澄は主力メンバーじゃん!無理だよ、ぜったい上の人たちも許さないよ?」


「かもね」



さすがに小指を切り落とされるとかはないだろうけど、似たようなことくらいはさせられそうだ。

仲間意識だけは無駄に強いから、ああいう組織って。



「あ、千石さん」


「……海未(うみ)ちゃん」


「こんにちは。遊びに来たんですか?」



すでに知られてしまった俺の顔は、今では驚かれもしない。

俺だって名前を覚えてしまったくらいだ。


“ひまわり園”と表記された門の前に立っていると、ちょうど帰ってきたらしいジャージ姿の女子中学生が挨拶をしてくる。