「魔法が使えるのは今のうちだよ」
と、麻子に言われたのは次の出勤日の昼休憩中だった。

麻子と美加のふたりは大抵社食で昼を食べている。
ワンコインで栄養バランスの取れた食事が提供されているので、社食はいつも賑わっている。

「え?」
パスタをすすろうとしていた手をとめて美加は前に座る麻子を見た。

ついさっき、魔法のおかげで生活が少しだけ充実してきたと話をしたところだったのだ。

「だって、処女だから魔法使いになったんでしょ? それなら処女じゃなくなったら当然魔法も消えるよ?」

当たり前のことだけど盲点だった!