☆☆☆

この力が役立つなんて思っていなかった。

とても小さなことで便利だなと感じることはあったけれど、まさか自分の恋愛に役立つなんて。

美加は自室のベッドにねぞべって自分の両手を見つめていた。
いや、手を使わなくても念じるだけで物を動かすことくらいはできるんだけど。

今だってなにもせずにテレビをつけたり消したりしている。
一番便利なのは電気だった。

家に到着する数分前に電気を消して空調もつけておけば快適な部屋に戻ることができる。
今、魔法で一番役立っていることだった。

「30歳で処女だと結構いいことあるじゃん」
美加はクスッと笑って念を送って部屋の電気を消したのだった。