30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

少しだけ触れた指先がやけに熱くて心臓がまだドキドキしはじめる。
だけどこれだけじゃない。

うつむいてしまいそうになるのを必死で我慢して、美加はバッグの中のチョコレートを取り出した。

「あの、よかったらこれもどうぞ」
「え?」

「有名なチョコレートです。私大好きで、沢山持っているので……」
シミュレーションとはかけ離れたセリフだったけれど、これが美加の精一杯だった。

照れて真っ赤になっていることを相手にさとられないように、必死で顔をそむけている。
「いいの?」