30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

今日にかぎってどうしてこう頻繁に合うのだろうと、美加の心臓がドクンッと跳ねる。

美加が一瞬で緊張してしまったことを知ってか知らずか、隣の麻子が美加の肩をつんつんつついてくる。

その意味を理解しているからこそ、なかなか動くことができない。
大翔はエスカレーター待ちをして立ち止まり、その間にスマホを見ている。

「ほら、今がチャンスだよ!」
小声で言われて背中まで押された美加は、体のバランスを崩して一歩前に踏み出した。

その後は勢いに任せて歩き出す。
あくまでも自然に、ただ大翔の後ろを通り過ぎるだけといった様子で歩く。

途中何度か足が絡んで転けそうになったけれど、どうにか踏ん張って体勢を戻した。