30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

ようやくこの力の便利さが理解できてきたかもしれない。
「蛇口よ、しまれ!」

これも成功だ。
さっきまで出ていた水は止まり、元通りになっている。
「だけど魔法にしては地味だよね」

ふと我に返ってつぶやく。
相手の思考が読めるとか、仕事が3倍早くなるとかの方がよほど嬉しい。

「なぁに贅沢言ってるのよ。ほら、そろそろ戻らないと上司に怒られちゃうよ」
人の力を試してみて満足したのは、麻子はさっさとエレベーターへ向かって歩き出したのだった。

ちなみに自分たちの部署へ戻るエレベーターのボタンも美加の力で押したのだった。