30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

「さ、今度はこっちに来て」
気を取り直すように麻子が美加の腕を掴んで歩き出した。

その先にあるのは水道だ。
「手を使わずに蛇口をひねってみてよ」

なるほど。
そういうことができれば確かに便利だ。

両手がふさがっていても鍵を開けたりできるかもしれないんだから。
「捻れ!」

今度は両手を後ろへ回した状態でそう念じてみた。
キュキュッ。

誰も触れていない蛇口が音を立てて周り、水が出てくる。
「わぁ! その力すごくいいじゃん!」

麻子がその場で飛び跳ねて拍手をする。