30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

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それから美加と麻子は屋上で様々なことを試してみることになった。
「ケシゴムとペンは成功したね。今度はこれならどう?」

麻子が地面に置いたのは名刺だった。
軽くてすぐにでも風で飛ばされてしまいそうなそれに意識を集中させる。

そして右手をかざすと、名刺はヒュンッと風を切って美加の手の中に吸い込まれていったのだ。

「これ、すごくない?」
その場から動くこと無く名刺を手に取ることに成功した美加が、まるで他人事のようにつぶやく。

まだ自身の身に起きていることだとは思えないのだ。
「すごいよ美加! 本当に魔法使いになったんだね!」