30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

「それなら、ケシゴムを拾ったときにどんな感じだったか思い出してみたら?」
「どんな感じって……」

あのときはケシゴムが向かいのデスクの下まで転がってしまって億劫に感じた。

拾うためには先輩に声をかけないといけないし、その先輩は仕事熱心でちょっと頭が硬いから絶対に文句のひとつでも言われるから。

だから……。
「ペンがこっちにくればいいのに」

昨日の気持ちを思い出してそのまま口に出した。
その瞬間、地面に置かれているペンがかすかに震えたのだ。