30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

「それなら試してみるしかないよね!」
麻子はそう言うと立ち上がり、ベンチから少し離れた場所にペンを置いた。

「そこから立ち上がらずにこれを取ることができるかどうか、やってみて」
「そんなの無理に決まってるじゃん」

やってみてと言われてそう簡単にできるわけがない。
どうやってケシゴムを動かしたのかもわからないのに。

「いいから、とにかくなにかやってみてよ」
なにかと言われても困るのだけれど、渋々右手をペンに向けて差し出してみた。

けれどなにも起こらない。
「それだけ?」

麻子が不満そうな表情を浮かべる。
「だって、わからないんだもん」