30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

コーヒーメーカーが動いている音がして、先客がいたことに気がついた。
その人もドアが開いたことに気がついて顔をこちらへ向ける。

背が高くて整った顔立ちで……大翔だ。
相手が大翔だとわかった瞬間ふたりの時間が止まった。

美加はどうしていいかわからず棒立ちになり、大翔も目を丸くしたまま動きを止める。
先に口を開いたのは大翔のほうだった。

「あ……ブレンド?」
そう質問されたことがなんだかとても滑稽で、美加はほっと息を吐き出した。

「はい。ブレンドです」
「僕も、君から教わったブレンドで飲むようになったんだ」

「そうなんですか。おいしいですよね」
自然と会話しているけれど、それが不自然に感じられる。