30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです

麻子が美加の悲鳴に驚いて顔を向けてくる。
美加は震える指で足元のケシゴムを指差した。

「い、今ケシゴムが動いた!」
「はぁ?」

麻子が眉間にシワを寄せる。
「ほ、本当だって! 今、こっちに転がってきたの!」

必死に説明しても麻子の表情は冷たくなっていくばかりだ。
全然信じてくれてない!

友人の反応にショックを感じていると、「ちょっと、うるさいんだけど」と前のデスクから声がかかった。

ビクリと体を震わせて確認してみると、先輩がこちらを睨みつけて来ている。

「ご、ごめんなさい」
美加は縮こまるような気分になり、ケシゴムを拾うとすぐに仕事を再開したのだった。