頭痛薬を飲んだことで少し気分が良くなってからは、午前中の遅れを取り戻すように仕事に集中した。

どうにか納期には間に合いそうだと思ったとき、デスクの上に置いてあったケシゴムに肘が触れて落ちてしまった。

基本的にはパソコンですべて作業をするのだけれど、こまなか修正点を印刷したチラシに記入していくので、一応エンピツやケシゴムも用意しているのだ。

ケシゴムはデスクの下にコロコロと転がり込んでいく。
「もう……」

ようやく仕事に調子が出てきたところなので口の中がブツブツと文句をこぼしつつ、椅子を引いてデスクの下を覗き込む。

ケシゴムは思ったよりも遠くへ転がっていて、向かい合っているデスクの下まで行ってしまっている。