葵さまは私がいないことに気付いてエマちゃんを問い詰めたけど、私とのことは何も言わなかったみたい。


ホテルや船の監視カメラから私の姿が確認できて、現地旅行社のスタッフが乗船所で私を見つけてくれ、安全な空港まで移動させてくれたことを知った。


その時すでに葵さまは私の居場所を知っていたんだね……。


個人の船を特別に出してもらい、私のところへたどり着いたと言う。


あの嵐の中を突破するなんて、さすが葵さま……。


しかもその理由は、私に会う……ため!?


雇い主としての責任感からか、ただ純粋に私を心配してくれていたのか……。


真実を知りたいけど、ここまで来てくれたという事実だけで本当に嬉しい。






どこも満室だと聞いていたけど、先に体育館へ行ったこのみちゃんは他のホテルへ泊まれることになったと葵さまから聞いた。


そして私と葵さまもまた別のホテルの一室を優遇してもらえることになった。


 いつも同じ部屋で寝ているから違和感がないかと思っていたふたりっきりの空間は、場所が違えばまた雰囲気が違う。


 それに普段はキングサイズでかなり広々使えるのに、今回はダブルだから一緒に眠るとなると距離がかなり近い。


 これは……どうしたものか。